トップページ > 自らの手でルールを変えることができる、それが議員です。

自らの手でルールを変えることができる、それが議員です。

2016年08月30日(火)11:15 PM

いつもお世話になっております。

 今回の記事は少々議論を呼びそうなものです。

ご存知の方は既にご心配を頂いておりますが、

音喜多駿都議会議員が、自身のブログ『都政をアップデートする』平成28年8月7日付の記事において、『「身分を偽り、文書を「捏造」する都議まで存在!ドンだけではない都議会の闇、野上ゆきえ都議(江東区選出)について」』という記事を出されております。 この記事自体は、音喜多議員の都議会の運営やルールへの理解不足によるものと思われ、私し自身に全くやましいところはありません。しかし、内容がやや複雑であり、法律的な説明も要するものと考えられましたので、民進党新潟県第5区総支部の支部長であり、弁護士資格を有する米山隆一弁護士に相談した上で、米山弁護士からの通知書という形で音喜多都議に私の見解を送ることにしました(もともと音喜多都議からも弁護士名で通知書も来ていましたので。)送付いたしました通知書は、以下にアップさせて頂きますので、ご関心のある方はご一読頂ければ幸いです。
 

 確かに議会は、色々なルールや慣習があって、一般の人には分かりづらいものがあるかもしれません。私自身も、都議会一期生の時は大会派に所属し多くの先輩方からご指導を頂きまたその背中を見ながら、また自らも勉強しながら仕事をして参りました。この議会のルールや慣習は、「言論の府」としての独立性を維持し、一人一人の議員がその意見を公平・公正に述べるためのものです。また、これは私の不徳の致すところではありますが、議会における議員同士の関係は、かつての都議会みんなの党のように分裂状態になって、話し合いを続けてもにっちもさっちもいかなくなることも、実際には多くあります。すべてを円満に進めることができない状態において、それでも物事を進めていくためにルールはあります。そのルールにのっとった手続きが行われている以上、自分が思う通りに事が進まなからと言って相手を悪し様に中傷するのは、私は間違っていると考えます。 

 とはいえ、もちろん音喜多議員も、かつての都議会みんなの党の仲間であり、今現在も同じ東京都議会議員です。そしてルールに不満があるのであれば、誰かを悪し様に言うのではなく、自らの手でルールを改めることができるのが、議員です。  私は、同じ東京都議会議員として、建設的な議論ができることを期待しています。

以下、送付いたしました文書を記載致します。

 

 


平成28年8月30日

通 知 書

 

東京都議会議員 音喜多 駿  殿

 

〒160-0022          

東京都新宿区新宿2丁目12番4号

アコード新宿ビル9階

                                TEL:03-6273-1490 FAX:03-6273-1491

弁護士法人おおたか総合法律事務所

東京都議会議員 野上 幸絵 代理人    

弁護士      米    山    隆    一

 

冠省

 

 当職は、通知人野上幸絵の代理人弁護士である、米山隆一と申します。

 

 貴殿のブログ「都政をアップデートする」の平成28年8月7日付記事「身分を偽り、文書を「捏造」する都議まで存在!ドンだけではない都議会の闇、野上ゆきえ都議(江東区選出)について」(以下「本件記事」といいます。)に付、事実関係を説明するとともに、以下の通り通知いたします。

 

 本件記事の論旨は必ずしも明確ではありませんが、主要な主張は、

 

①通知人は、『届出を出す権限がなかった』にもかかわらず自らを都議会みんなの党幹事長と、『偽り』、所属議員異動届を平成25年7月25日付で都議会事務局に提出した(『』は本件記事の記載)。

②これは音喜多駿氏、両角穣氏、上田令子氏、塩村文夏氏(以下「貴殿ら4人」といいます。)の意に反して所属議員離脱届を『捏造』した『文書捏造行為』である。

③これにより、音喜多駿氏、両角穣氏、上田令子氏、塩村文夏氏(以下「貴殿ら4人」といいます。)は、自らの意思に反して強制的に都議会みんなの党から離脱させられた。

 

であると理解されます。

 しかしながら貴殿の主張は、いずれも、都議会の確立したルールの理解不足若しくは、一般的な用語と法律用語の混同に基づく誤解又は事実誤認と思われますので、以下、説明させていただきます。

 ①について、通知人は、確かに平成25年7月25日に、貴殿ら4人が都議会みんなの党を離脱する旨の、所属議員異動届を提出いたしました。この点について通知人は何ら争っていません。  

  これについて貴殿は、通知人が、通知人と貴殿ら4人との話し合いにおいて、幹事長に選任されていないにもかかわらず、当該所属議員異動届に「幹事長 野上 ゆきえ」と記載したとして、「自分の立場を幹事長と偽り」幹事長でなければ提出する権限がない所属議員異動届を提出したと述べておられます。

 しかしながらこれは、貴殿が、議会事務手続きにおける「会派」としての「都議会みんなの党」と、政党(若しくは政党支部)としての「都議会みんなの党」を混同していることに起因する誤った主張です。議会における「会派」は、その所属議員が構成する政党(若しくは政党支部)とは異なった概念であり、政党内の役職が、会派の役職に反映されるものではありません。都議会の会派は、政党とは別に、議会の事務手続き上定められているものであり、いったん代表者が会派を届けた以上は、その代表者が政党内でどのような立場になったとしても、新たな役職者選定届けが出されるまでは、その会派に関する届け出は、従前の代表者(以下「事務局届出代表者」といいます。)が行うというルール(以下「会派届出ルール」といいます。)が、都議会の慣行として確立しています(疑問であれば、都議会事務局にご確認ください。尚、国会でも同様のルールが確立しており、政党としての維新の党を除名された片山虎之助氏が、参議院会派の維新の党の代表者として他のメンバーの離脱届を出し受理されています。)。

 また、所属議員異動届は、都議会事務局によって、あらかじめ代表者の役職名を「幹事長」と印刷した用紙が用意されており、通知人はこの用紙に署名捺印をしたもので、自ら「幹事長」と記入したものではありません。

 従って通知人は、上記会派届出ルールにのっとって、会派としての「都議会みんなの党」の事務局届出代表としての権限に基づき、所定の用紙に署名捺印して、所属議員異動届を提出したものであり、政党(若しくは政党支部)としての「都議会みんなの党」の幹事長であると『立場を偽った』訳でも、権限を有しない行為を行ったものでもありません。

 貴殿の主張は明らかに誤っています。

 

②については、そもそも「文書捏造」という言葉が何を指すのか不明なのですが、恐らくは刑法159条の「私文書偽造」と混同されているものとして説明させていただきます。確かに肩書の冒用によって名義人と作成者の人格に齟齬が生じた場合には、刑法159条の私文書偽造が成立します。しかしながら上記説明の通り、通知人は、会派としての都議会みんなの党の事務局届出代表者として、都議会事務局があらかじめ用意していた所定の用紙に署名捺印し、これを都議会事務局に提出したものですから、何ら、名義人と作成者の人格に齟齬は生じておらず、文書偽造に該当する余地はありません。

 尚、貴殿が「捏造」と言っているのは、貴殿ら4人が会派としての都議会みんなの党を離脱する意思がない(と貴殿は主張している)にもかかわらず、所属議員異動届の「理由」欄に、「塩村文夏、音喜多俊、両角穣、上田令子 以上4名離脱のため」と記載されていることを指している可能性もありますので、その点についてもご説明いたします。  

 まずもって、そのような文書内容の齟齬を「捏造」というかどうかはさておき、刑法159条に言う「偽造」には当たらないことを指摘させていただきます。

 その上で、貴殿が敢えて沈黙しているところかと思いますが、所属議員異動届は届け出だけで受理されるものではなく、必ず記載内容について、該当議員全員の同意があることが確認されてから、受理されるものです。  

 本件所属議員異動届も、提出時において貴殿ら4人に会派離脱の意思がなかったとしても、その後都議会事務局が貴殿ら4人に真実、会派離脱の意思があることが確認された後受理されたことを確認しております。提出の経緯が、分裂状態に陥っていた都議会みんなの党の状況を反映して必ずしも粛々としたものでなかったことは事実としても、受理された時点において貴殿ら4人の意思と何らの齟齬もなかった以上、「捏造(若しくは偽造)」に該当するようなものでは全くなく、貴殿の主張は明らかに誤っています。

 

③は、②の繰り返しになりますが、貴殿ら4人は、都議会事務局から、会派としての都議会みんなの党を離脱する意思があるか否かの確認を受け、自らその意思がある旨を伝えたからこそ、本件所属議員異動届が受理され、貴殿らは会派としての都議会みんなの党を離脱したものです。通知人が、「自らと意見が異なる4名の都議会議員を強制的に離脱させ」たとの貴殿の主張は明らかに誤っています。

 

尚、既に3年近く経過しており回答を要するのか明らかではありませんが、貴殿ら4人から送付された平成25年11月12日付質問書にも、上記を前提として回答させていただきます。

(1)

①平成25年7月25日当時都議会みんなの党は7人の会派でしたが、貴殿ら4人が多数決による幹事長の選任を主張し、残る3人(以下「通知人ら3人」といいます。)が話し合いによる選任を主張し、多数決による選任を強行するのであれば、会派の分裂は避けがたい旨あらかじめ伝えておりました(これは、すなわち幹事長の選任方法について、事前に定められていなかったということです。)。にもかかわらず、貴殿ら4人は、強硬に多数決による選任を主張し、通知人ら3人の同意を得ないまま貴殿ら4人のみで多数決を行いましたが、そもそもかかる選任方法が正当なものであるという根拠は存在せず、通知人は、事ここに至っては、会派全員の同意をえた正当な方法で新幹事長を選任することは事実上不可能であり、会派分裂もやむなしと判断せざるを得ませんでした。このため通知人は、貴殿ら4人自身が、自らの行動で会派分裂を選んだものであり、そうである以上会派離脱の意思はほぼ明らかであるから、いったん所属議員異動届を提出したうえで、事務局から離脱の意思を確認してもらうのが良いと考え、貴殿ら4人の意思を明示的には確認せず、但し会派の事務局届出代表の認められた権限として、所属議員異動届を提出しました。その後都議会事務局からの意思確認において、貴殿ら4人は会派からの離脱に同意し、それ故に本件所属議員異動届は受理され、貴殿ら4人が会派を離脱したものであることを、都議会事務局に確認済みです。会派分裂の混乱の中で、必ずしも粛々とした手続きでなかったことは、通知人の不徳の致すところとして認めますが、貴殿ら4人の会派離脱の意思が確認されてから受理されている以上、本件所属議員異動届の提出に、なんら問題はありません。

② 上記事情であり、回答は不要と思います。

③ 上記事情であり、回答は不要と思います。

(2)

① 政党(若しくは政党支部)として都議会みんなの党の幹事長職についての話し合いが紛糾したことは認めますが、それと、会派の事務局届出代表とは別個の問題であり、事務局届出代表は、政党の役職がどうあれ、新たな役職者選定届が受理されるまでは、会派の代表は従前の代表が務めるのが都議会の確立したルールです。また、会派に関する届け出は、関係者全員の意思が確認されなければ届け出ても受理されませんが、この時点で通知人は役職者選定届に同意しておりませんので、これを提出しなかったこともまた正当な権限に基づくものです。また、「幹事長」という名称は、都議会事務局が用意した所定の用紙に会派の代表を示す役職の名称としてあらかじめ印刷されていたものにすぎず、通知人が自らを政党(若しくは政党支部)としての都議会みんなの党の幹事長であると名乗った事実はありません。

② 上記事情であり、回答は不要と思います。

③ 上記事情であり、回答は不要と思います。

 

以上、本件記事における貴殿の主張はいずれも明らかに誤ったものであることを指摘させていただきます。当方としては、この誤りは、貴殿の、都議会の確立したルールの理解不足、若しくは一般的な用語と法律用語の混同に基づく誤解又は事実誤認によるものと理解しておりますので、道義上速やかな削除を要請いたしますが、それ以上特段問題視するつもりはございません。

 

一方で、今後新たに、公けに同様の誤った主張をなさった場合は、故意による事実無根の中傷と判断せざるを得ませんので、しかるべき措置をとらせていただきます。

 

 尚、当通知の内容に異議がある場合、若しくは何らかのご主張がある場合は、当職までご通知頂ければ、返答の必要があると判断したものについては、返答させていただきます。

 

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

草々

 

 


以上

 



«   |